2022年に出版した拙著『山の音』という本に “「写真が上手い」ってなんだ?” というエッセイを収録した。世の中で当たり前のように使われている「写真が上手い」という言い回しについて考察した文章である。それを読んで下さった写真家の野口里佳さんが書評を書いてくれた。曰く「本当に上手い写真というのは、誰が見ても絶対そう撮るべきという感じでそこにあるので、誰が撮ったかすら重要でなくなってしまう。写真家が透明人間になってしまうのだ」(※)野口さん、凄いことをいうなあ、とボクは思った。そんなことが果たして可能だろうか?この “ SIGHT/SEEING: On the Pacific Coast of Fukushima ” というプロジェクトで、ボクは「誰が見ても絶対そう撮るべきという感じでそこにあるので、誰が撮ったかすら重要でなくなってしまう写真」を撮ることに挑戦している。ボクは果たして透明人間になれたのだろうか?
※ IMA ONLINE “ 野口里佳による大森克己『山の音』ブックレヴュー「写真が上手いということ」” (24 March 2023)
大森克己
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